2020年9月27日にさいたまスーパーアリーナで行われた「那須川天心vs皇治」の試合結果について考察します。
- 戦前予想
- 試合結果
- 勝敗を分けたポイント
- 試合後の「武尊の方が強い」発言について
本ブログオーナーのおすけはプロ格闘家としてタイ国(ムエタイ)と日本(キックボクシング)で16試合を行った経験があります。
その経験をもとに【那須川天心VS皇治】の試合結果に加え、勝敗を分けたポイントについて考察します。
【那須川天心vs皇治】の対戦が決定するまでの流れと戦前予想
K-1に巨額の違約金を支払ってRIZINに参戦を発表し、すぐさま那須川天心に喧嘩を売った皇治。
その皇治の喧嘩を買う形となって対戦が決定したこのカード。
【那須川天心vs皇治】
勝敗予想では圧倒的に那須川天心のKO勝ちを予想する格闘技ファンが多かった。
しかしその反面、皇治の奮闘に期待するも格闘技ファンも少なくはなかった。
- K-1の絶対王者の武尊と真っ向勝負で倒されなかった皇治の頑丈さ
- 格闘技を盛り上げるためにK-1に巨額の違約金を払ってまでして那須川天心に喧嘩を売った皇治の男気
この2つが格闘技ファンが皇治の奮闘に期待をした理由です。
日本格闘技界の歴史が変わるかもしれない試合が、2020年9月27日にさいたまスーパーアリーナで行われた。
【那須川天心vs皇治】
試合結果は天心の3R判定勝ち!
皇治は天心に触れず!
圧倒的な実力差がありました。
戦前予想でも那須川天心が圧倒的に有利であったが、その予想をさらに超える実力差を天心が見せつける形となりました。
那須川天心の3ラウンド判定勝ち
【30-27、30-27、30-27】
試合映像を見合ていない方や、格闘技経験がない方にとっては試合結果だけをみたら皇治が善戦したように感じるかもしれません。
しかし、実際は那須川天心が格闘技関係者の予想をはるかに上回るほどの実力差を見せつけての圧勝でした。
皇治は3ラウンドの9分間、那須川天心を触ることができないまま、判定負けとなりました。
【那須川天心vs皇治】
試合内容は1Rから3R終了まで全て同じ展開に!
試合展開は1Rから3R通して全てのラウンドで同じ展開でした。
離れては、天心のローとハイキック。
皇治の出鼻は天心の早く正確なジャブでくじかれる。
近距離からはアッパーやボディーとパンチを上下をに散らせ、パンチの打ち終わりには膝蹴りも繋げる。
さらに天心は攻撃の打ち終わりに絶対にその場所に残らない。
バックステップやターンステップ(サイドステップ)を使い皇治が打ち返そうした時に天心はもう既にそこにはいません。
全く天心を捕らえられない皇治も必死にパンチを当てようとするが、遠い距離の天心にパンチを届かせようとすると状態が前傾する。
そこに天心に飛び膝を合わせられ、皇治は(入りは浅いが)何度も被弾。
足を止めない天心に、武尊戦の時のように打ち合いに持っていけない皇治は、天心になすすべがないまま3R終了。
皇治のフルマークの判定負けとなりました。
本ブログ内で【那須川天心vs皇治】の勝敗予想をしています!試合展開の予想は見事に的中!?
この記事の中で勝敗を分けるポイントとして3つのことをあげています。
- 出入りの速さ
- メンタル
- ディフェンス力
皇治が天心を触ることなく試合が終わってしまった試合結果について、僕の予想はある程度の的を得ていたように思います。
勝敗予想の内容を詳しく知りたい方は下記の記事をチェックして下さい。
【試合の勝敗を左右したのは那須川天心の左ハイと組みぎわの膝蹴り】
勝負は1R開始30秒で既についていた!?
個人的に勝敗の鍵となったのは試合開始直後の3つの攻撃。
- 1R7秒→天心の左ハイキック
- 1R24秒→左のインロー
- 1R30秒→パンチからの膝けり
この3つのアクションで勝敗と試合展開が全て決まったように感じます。
なぜなら、この天心の3つの攻撃のスピードに皇治が全く対応できていなかったからです。
格闘技の「ダメージ」とは肉体的なものだけではありません。
ダメージには肉体的ダメージと「精神的ダメージ」があります。
天心の開始直後の3つの攻撃で、皇治は肉体的なダメージよりもこの「精神的なダメージ」を深く、深く負いました。
全てのラウンドを通して皇治が手を出せなかったことが全ての証拠です。
試合後に皇治から「武尊の方が強い」発言!
那須川天心vs武尊の期待値は!?
先にこの「那須川天心vs皇治」の期待値について結論をいうと。
理由は下記のとおりで、2つあります。
- 那須川天心のベスト体重は55キロ、武尊のベスト体重は60キロとそもそも体重差がある
- 2人の体重差があることで、契約体重で試合を行った場合どちらが勝ってもケチが付く
下記で深掘りして解説します。
階級が細かく分かれている理由は「選手の命を守るため」です!
那須川天心は現在58キロ付近の契約体重で試合をすることが多いです。
(皇治戦は58.5キロ契約)
理由は55キロで日本国内に、相手がいないからです。
さらにコロナの影響で強い外国人選手を日本に呼ぶこともできないので、ベスト体重の55キロでなく58キロ付近の契約体重で試合をしています。
そもそもなんで階級が細かく分かれているのか。
理由は簡単です。
体重差のある2人が試合をした場合、相手に「深刻なダメージ」を負わせてしまう可能性があります。
体重差がある2人が殴り合う、蹴り合うことは「危険である」ため細かく階級が分かれています。
そもそも、2階級の体重差がある2人が試合をすることは選手の安全を考えた場合に行うべきではありません。
仮に天心vs武尊が皇治線と同様に58.5キロの契約体重で行った場合、どちらが勝っても絶対にケチが付きます!
仮に58.5キロの契約体重で試合を行った場合のケチを予想します。
那須川天心が勝った場合のケチ
- 武尊は減量苦で計量後のリカバリーができなかった
- 武尊の減量苦によるリカバリー不足により、動きの切れ、スピード、反応、が鈍ってしまった
- 減量苦がなければ武尊が勝っていた
武尊が勝った場合のケチ
- 計量後に体重を戻せる幅が武尊の方が多いので試合当日に体重差がある
- 55キロで試合をすれば武尊は天心のスピードに絶対についていけないはず
- 55キロなら天心が勝っていた
那須川天心と武尊という2人はともにスター選手。
ゆえに、契約体重で試合を行った場合は上記のようにどちらが勝っても絶対に試合後にケチが付き、100%納得のいく結果にはなりません。
「那須川天心vs武尊」の対戦を観てみたいのは僕も同じです。
しかし、上記の通りどちらが勝っても100%の納得ができないことと、選手の安全を守ることを考え僕は2人の対戦は「期待するべきではない」と思います。
【那須川天心vs皇治】試合結果をみて思うこと
『ここ数年の格闘技においてここまで楽しみにとなった対戦カードはなかった。』
きっと僕と同じように【那須川天心vs皇治】という対戦カードに心踊った格闘技ファンは多いと思います。
下馬評では大半の人が『那須川天心のKO勝ち』を予想していた。
実際の結果は『那須川天心の3ラウンドフルマークの判定勝ち』
しかし3ラウンド戦ったことで2人の実力差はより明確となった気がします。
この【那須川天心vs皇治戦】の試合結果、結果内容についてはいろいろな角度からの評価、見方があります。
本記事の内容についても、いろいろな意見を持つ方がいると思います。
それだけこの対戦カードに話題性があった証拠です。
しかし、確実にひとつ言えることがある。
那須川天心と皇治という2人の漢(おとこ)がコロナ禍の日本格闘技界を盛り上げた!
この事実に間違いはない。
僕は両選手に心から拍手を送りたい。